LPガスとは、「Liquefied Petroleum Gas」つまり液化石油ガスの略称で、一般的に頭文字をとってLPガスと呼ばれています。LPガスは、炭素と水素の化合物で、炭素数3のプロパン(C3H8)と炭素数4の(C4H10)と2種類がありますが、一般家庭用で使われているのはプロパンでプロパンガスとも呼ばれています。
また、LPガスは、容積が小さい液体の状態で貯蔵・搬送され、使用時には気体で消費されます。たとえばプロパン10kgが気化すると約4.82立方メートルとなります。(数値は地域・気温により若干異なります)。
なお、気体のLPガスを液化するには、プロパンの場合常圧で-42℃(ブタンの場合-2℃)に冷やすか常温で0.8~0.3MPa(2~3kg/平方cm)の圧力を加えます。
LPガスは、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)の排出はほとんどないことと併せて、地球温暖化の原因といわれているCO2(二酸化炭素)の排出量も少ない地球に大変優しいクリーンなエネルギーなのです。
都市ガスとの比較だけではなく、他のエネルギーと比べても発熱量が大きく、また操作も簡単で燃焼制御がしやすく、使いやすいエネルギーです。
LPガスは、天然ガス田や油田から産出されるとともに、原油を精製する過程でも出てきます。日本のLPガスは約4分の3を海外から輸入し、残りは国内に輸入された原油を精製する際に生産されています。その輸入先はサウジアラビアが全体の4割弱、中東全体で8割以上を占めていることから、供給基盤が脆弱になっています。
一方、LPガスは天然ガス田からも産出されることから、天然ガス田開発に伴い、生産の増加、中東以外の供給地多様化が期待されています。
わが国のLPガスは大半を輸入に依存し、かつその輸入先は中東に偏在していることから、安定供給確保のため、現在輸入業者に対して法律で義務づけられている民間備蓄(年間輸入量の50日分)に加え、国家備蓄体制も2010年度には150万トンを達成することを目標に本格的に推進されています。
国家備蓄基地の建設地は以下の5地点(石川県七尾市、長崎県福島町、茨城県神栖町、愛媛県波方市、岡山県倉敷市)で、すでに七尾、福島、神栖の3基地は稼働を開始しています。
LPガスは、平成7年の阪神・淡路大震災や平成16年の新潟県中越地震の際にも、供給の途絶は少なく、他のエネルギーに比べいち早く完全復旧を果たしています。
またLPガスは、避難所への設置が素早くでき、煮炊きやお風呂・シャワーのほとんどの施設がLPガスで賄われました。
LPガスは、液化された状態で容器に入っているため、運搬が容易であり全国津々浦々まで供給されています。
その機能からも災害に強いエネルギーと言うことができます。